328号 史料クリーニング実習・講習に参加して
2019.02.04
一橋大学大学院社会学研究科
修士課程 2 年 佐藤駿多朗
2019 年 1 月 24 日(木)・25 日(金)にかけて、社会学研究科の若尾政希先生のもと、歴史学を研究対象とするゼミに参加する大学院生を中心に、主に史料の保全作業を行いました。私は、歴史学を専攻し、今回保全作業の対象として扱ったような古文書を活用する研究をしてきました。しかしながら、そういった古文書を長期にわたって保存するための作業は、一度も行ったことがなく、少し恥ずかしい気持ちを抱いていたこともあって、このような機会に参加を決めました。
24日午後より、まず、佐藤大介先生を中心に、宮城資料ネットがどのような活動を行っているかといった概要やそういった活動の地域における意義などを熱弁していただきました。その後、24 日・25 日を通して、実際に作業を行いました。主に 2 つの作業を中心に行っています。
1つ目は、襖から史料をはがす作業です。まず、襖にたくさんの古文書が何層にも分かれて埋めこまれていること自体に驚きました。この作業は、史料を濡らしてから、一枚ずつ史料をめくっていくという一見簡単そうな作業です。ですが、なかなか貼り付けが強いことや、2 つの史料が重なっていることにより、史料の原形を保ちつつ、史料を綺麗にはがすのは、慣れるまではかなり難しかったです。慣れてきて、楽しくなってきた頃、史料の内容を少し読むと、地域の歴史を明らかにすることに活用できそうな内容のものがいくつもありました。襖の中の史料は、持っていた本人は、いらないと思って史料を襖に使ったのかもしれませんが、現在の私からすれば、とても貴重な史料ではないだろうかと思うようなものでした。自分たちがやっている作業の意義を、作業中に感じることができたような気がします。
2つ目は、襖からはがした史料の洗浄作業です。史料の長期保存のために重要な作業です。史料を水につけ、穴があいたマットをはさみ、その上から筆を使い、史料の汚れをとりま
す。そして、最後に水分をふきとります。この作業は慣れてくるとある程度早く行うことができるようになってきます。1 つ目の作業同様、より楽しくなっていきました。
この 2 つの作業を行って、慣れるまでは少し難しいが、慎重さを持って取り組むことができれば、どのような人でも史料保全作業を行うことができるのではないかと考えました。日本には、多くの史料がありますが、史料保全作業は追いついてないと聞きます。こういった史料保全などに興味がある方(歴史が専門であるかないかは、関係なしに)がある程度気軽に(難しくて自分にはできないといった考えを捨てるという意味で)参加できれば、膨大とはいえ史料保全作業は進んでいくのでは、ないかと思います。
この2つの作業の際、長時間つきっきりで安田容子先生が、指導して下さいました。慣れない作業で、助言をいただくことも多くご迷惑をおかけしたと思いますが、貴重な時間を過ごすことができました。
全体を通して、東北大学災害国際研究所の方には、大変お世話になりました。また、機会があれば、作業に参加させていただければと思います。ありがとうございました。