344号 資料保全の現場を訪ねる旅 レポート
2019.08.05
先日、8月3日にYS市庭コミュニティー財団による助成事業「資料保全の現場を訪ねる旅 石巻」を開催いたしました。当日の様子について、宮城資料ネットのボランティア作業に毎週参加されている大鍔千秋さんにレポートしていただきました。
「資料保全の現場を訪ねる旅」レポート
(宮城資料ネットボランティア・大鍔 千秋)
1. 実施日:8月3日(土)
2. 旅行催行:NPO法人宮城歴史資料ネットワーク
3. 参加人員:31名・事務局 6名 計 37名
4. 行程概要と感想
仙台駅東口、貸切りバス・出発9:05→仙台東IC(三陸自動車道)→車中にて「旅のしおり」(行程と案内する場所の内容をカラー写真入りで解説され50Pに及ぶ冊子)配布され、齋藤先生(理事長)、平川前理事長が挨拶され、次行程の説明を齋藤先生、佐藤先生(事務局長)が冊子のページを指定しながら解説され、現場を見る前に予備知識が入り、理解度が深まりました。出発当初から快晴、真夏の太陽が照りつける中を石巻へ、復興状況を車窓から見ながら本間家の土蔵見学に入りました。
① 本間家土蔵 見学 10:30~11:30
瓦礫の中で唯一残った土蔵、行政と被災した土蔵を震災遺構として保存された経緯を伺い、土蔵の1階で本間家のご主人も加わり、お話を伺い歴史遺産としての貴重な遺産であることが分かりました。周りが殆ど津波で破壊され、昔の面影が無い、復旧、復興工事の最中で有る現状も理解出来ました。少し時間が有るとのことで、日和山公園まで、約半数の方が、石の階段を汗だくになって登り、眼下に流れる北上川下流域、海岸線を眺め、復興の現状を目に焼きつけました。
② いしのまき元気いちば(昼食と休憩) 11:40~12:40
2階建てのモダンな建物、1Fは魚介類等の海鮮市場、お土産コナー、2Fはレストラン 貸切り席で海鮮丼定食を,さすがに鮮度抜群、大変美味しく頂きました、昼食の後に、順番に自己紹介、コミュニケーションを深められました。
③ 住吉地区の散策 12:40~13:20
レストランを出て、35℃程の炎天下の中を徒歩で住吉地区を散策→北上川堤防沿いを歩き、上流域に赤い太鼓橋が小さい島に掛かり、その傍にこんもりとした岩(石)の周りが渦巻いていたところから「石巻」になった言う伝説がある旨解説されていた。→石巻信金本店を通り越し、左折して石巻の町医者・勝又家の屋敷跡に、津波浸水地区で全て取り壊され、空き地の状態になっていました。
当家のレスキュー資料相当数を保全作業した記憶があり、貴重な絵画が保存されていた記憶が思い浮かびました。
④ 石巻市被災資料等収蔵施設(旧湊第二小学校)見学 13:40~14:20
石巻市文化財保管管理されている泉田さん(以前学生時代ボランティアの方)の案内で内部見学、解説された、1階から各保管フロアーに入ると、独特の臭いが鼻に付く感じ、温度、湿度、防虫管理を毎日実施しているが、換気機能が無い為か?保管管理と整理区分等にも課題があることを吐露されていました。2階のラック設置の部屋には、我々が保全作業完了して指定の段ボールケースに収納した、勝又家と吉浜小学校資料が整然と保管されていて、感慨に浸りました。
⑤ 吉浜小学校跡地・北上観光交流センター周辺見学 14:50~15:50
北上川の下流域に位置した場所、津波被害を受けた学校、文化施設、住居等は全て取り壊されて雑草が生い茂る低湿地帯になっていた、北上川沿いの高台に津波被害の慰霊塔、慰霊碑等が設置されていた。13.5mの津波到来の表示あり、被害の甚大さに恐怖を感じました。この近くに旧千石船船主の丸山佐々木家が有り、2003年頃、齋藤先生グループが調査研究されていた当時のお話があり、当時の貴重な記録が残されたとのことでした。
帰りの車中ではマイクを回しながら、今回のツアー参加者の感想が語られ、異口同音、満足感を抱き、定刻17:30仙台東口駐車場に到着、散会致しました。
~私の個人的感想~
① 参加者が当時ボラに参加された学生さんを含め、お会いすることが出来、又先生のご家族も参加され、若い方も多く、アットホーム的なツアーで和みました。
② 齋藤先生を含め、事務局の先生方が冊子準備、車内、見学場所の解説等、綿密なご対応され、参加者は理解を更に深める事が出来ました。
③ NPO法人設立の平川先生も同席されたことに感謝し、行政の手の及ばない分野での保全活動を行う当法人の重要性を再認識致しました。
④ ボランティアの皆さんに関する感謝のお話がありましたが、今回のツアーを通して我々の微力な活動の積み重ねが、お役に立っていることが理解出来ました。
⑤ 10月で8年目になりますが、「継続は力なり」を頭に置きながら、ボラの皆さんと共に生き甲斐を感じながら継続したいと思っています。
⑥ 津波で壊滅的な被害を受けた地区も、復旧、復興に向けて全体的に前進している状況、人間には苦難に負けない生きぬく底力があることを実感致しました。
以上