369号 3.11から9年

2019台風19号守る―保全活動広める―普及活動救う―救済活動東日本大震災

2011年3月11日午後2時46分に発生した地震、その後の津波から9年が経過しました。この間のご支援に改めて御礼申し上げます。
そのおり被災した歴史資料への応急処置につきましては、多くの方々のご支援をいただきつつ、なお続いております。津波被災資料については、高度な処置が必要なものが少なからず残されておりますが、市民ボランティアによる作業は内陸部の被災資料に移っています。毎週1日程度の作業が続いております。
一方、デジタル撮影、さらに史料リスト作りは、積み残された状況です。この点については、新たな作業体制、またクラウドを用いた情報共有の環境を整備しつつあり、その中でご支援をお願いできればと考えております。

昨年10月には、台風19号の被災を経験しました。あの3.11を契機とする地域内外との様々な連携により、被災した民間所在史料への救出活動を一定度行うことが出来たと考えています。これらについても、先の市民ボランティアの善意に基づく作業に全面的に依拠しながら、応急処置を進めております。
一方、その対応を通じて、3.11で被災しながら、救助が及んでいなかった史料群の存在を改めて知ることとなりました。
あの災害の大きさとともに、それらを捨てずに取っておられた所蔵者の方の言葉から、人や社会にとって史料とは、歴史とは何かを改めて考えさせられました。その一方、個人的には、現在の活動状況をもってしても、地域の中に残された歴史資料群の情報を把握することには、一定の限界があるということも痛感させられました。
大規模化する風水害、また目下、新型コロナウィルスの感染拡大による社会不安が続きます。3.11および台風19号への対応も、目下中断を余儀なくされております。今後の社会への影響によっては、地域の歴史資料の継承を支える環境への影響もなしとは言えません。
地域の歴史資料は危機的な状況にある、ということが、一人でも多くの方に共有されることを願っています。

25年前の阪神・淡路大震災で被災し救出された史料群も、未だ返却に至らないものがあると聞きます。3.11の活動も、まだまだ長丁場となりそうです。
あの災害から救出された歴史を、過ぎし日々を歩んだ人々の証として、一人でも多くの方と共有していくため、引きつづきのご支援とご協力を、よろしくお願い申し上げます。

(佐藤大介・記)