377号 「コロナ断捨離の、その前に」再度のお願い、各地での史料ネットの動向、COVID-19下での史料レスキュー
2020.07.21
2020年7月豪雨COVID-19
事務局の佐藤大介です。7月上旬の大雨による九州・西日本での被害、それに続きCOVID-19の感染再拡大が懸念される状況になりました。被害に遭われた方への改めてのお見舞いとともに、引き続きご用心ください。
◇「コロナ断捨離の、その前に」再度のお願い
7月23日からは4連休に入ります。何事もなければ、2020年オリンピックの開幕を迎えるはずでした。また、明日から実施予定の「GOTOトラベル」も、東京都の除外、また今般の状況でお出かけを控える方も多いのではないかと思います。
そこで懸念されるのが、この長い休みを利用した「コロナ断捨離」の実行と、それに伴う歴史資料およびその可能性を秘めた記録や道具などの大量廃棄です。
すでにゴールデンウィーク前後で、本会のみならず、各地の関係者から呼びかけが行われ、大きな反響がありましたが、大型連休、またお盆期間を控えて再度のお願いをいたします。周知へのご協力をお願いするとともに、お心当たりがありましたら、地域を問わず、本会まで情報提供をお願いできれば幸いです。
*参考
毎日新聞2020年5月26日 11時09分 *会員限定有料記事
https://mainichi.jp/articles/20200526/k00/00m/040/066000c
愛媛資料ネットTwitter
https://twitter.com/ehime_s_n
高知新聞2020.05.28 14:36
歴史資料は廃棄前に相談を コロナ断捨離で危機感
https://www.kochinews.co.jp/article/370486/
◇各地での史料ネットの動向
○群馬県での史料ネットの発足
2020年7月12日、群馬県の関係者による「群馬歴史資料継承ネットワーク(ぐんま史料ネット)」が発足いたしました。
https://twitter.com/gunmasiryonet
https://www.facebook.com/GunmaSiryoNet/
https://this.kiji.is/655590533533484129
https://current.ndl.go.jp/node/41364
発足を改めてお祝いいたします。
○令和2年7月豪雨での歴史資料レスキュー
大きな被害となった熊本県、近接する鹿児島県、河川の氾濫があった島根県の史料ネットおよび関係団体から、被災した史料の保全に関する呼びかけが行われています。
https://current.ndl.go.jp/node/41496
情報の周知、またお心当たりの情報についてのご提供をお願いいたします。
◇COVID-19下での史料レスキュー
COVID-19下での史料レスキューは、地域を越えた人の往来が制約される中での活動となります。となると、「その地域の歴史は、その地域の人が自ら守る」ということを、理念にとどめず、実際に行っていく以外に、史料を救う手立てはありません。
もちろん、関係者と連絡する、SNS等での広報に協力する、物資や資金を提供するなど、史料レスキューには様々な形があります。しかし、史料レスキューの第一段階である、実際の史料を安全な場所に持ち出すということは、今のところは人間にしか出来ません。
地域外からの人的支援が、COVID-19の感染拡大のリスクをはらむ状況の中、感染防止策をとるとしても、一定の制約が生じることは不可避です。
地域の方々の動きがあれば、史料は救われる可能性が高まります。そうでなければ史料が失われる、そのことが、無条件で外部からの支援が得られる状況に比べて、より一層高まってしまうということでもあるのでしょう。
一方、宮城であれば、最も遠い場所では自動車で往復8時間の地域までが活動範囲です。状況の如何に関わらず、日常的な関係という点から見れば、近年の合併で面積が増大した市はもちろん、町・村でもまだ広い、のかもしれません。史料所蔵者や、地域史料保存施設を核とする日頃からの小さなつながりが、平時の保存でも、災害対応でも、基礎となるのです。
衰退傾向にある現在の地域社会の中で、史料を継承していくことの難しさは、災害時に多くの史料を失った経験からも痛感します。その一方、所蔵者や地域が持っていた、地域の歴史資料や歴史・文化への意識、つながりに気づかされる機会でもありました。
一点でも多くの史料が救出されること、また歴史資料を通じた潜在的なつながり、地域の力が発揮されることを願うとともに、本会としても引き続き可能な支援を模索していくつもりです。