418号 シンポジウム歴史が導く災害科学の新展開Ⅴ ―文理融合による1611年慶長奥州地 震津波の研究― 開催のおしらせ
2021.11.11
事務局の蝦名裕一です。
東北大学災害科学国際研究所では例年、歴史文化資料保全の大学・共同利用機 関ネットワーク事業の一環として、文理融合研究の構築に向けたシンポジウムを 開催しています。今年は「歴史が導く災害科学の新展開Ⅴ―文理融合による1611年 慶長奥州地震津波の研究―」と題して、多分野の研究者による歴史津波の研究報 告とパネルディスカッションをおこないます。
今から410年前、慶長16年10月28日(グレゴリオ暦1611年12月2日)に東北地 方太平洋沿岸を襲った慶長奥州地震津波が発生しました。従来、この地震・津波 は慶長三陸地震津波と呼ばれ、1933年に発生した昭和三陸地震津波と同程度の規 模とみなされてきました。
それから400年後に発生したのが、2011年の東日本大震災です。これを受け て、東北地方太平洋沿岸の歴史津波像が大きく見直され、歴史学・考古学・地質 学・工学といった様々な分野の研究者が再検討をおこないました。この10年間 で、慶長奥州地震津波に関する歴史資料が再検討され、被災地における地質調査 によって新たな津波堆積物が発見されるとともに、これらの情報をベースにした 津波シミュレーションにより、従来の想定されていた地震規模を上回る、巨大地 震としての実態が明らかとされつつあります。
本シンポジウムでは、慶長奥州地震津波の発生から410年、また東日本大震災 の発生から10年が経過したことを受け、歴史学・考古学・地質学・津波工学の研 究者が結集し、それぞれの視点から慶長奥州地震津波に関する最新の研究成果を 報告します。さらに、これらの研究者によるパネルディスカッションを実施し、 学際的な視点から議論することにより、文理融合による学際的研究の視点による 新たな慶長奥州地震津波像を描き出していきます。
——————————————————-
日時:2021年12月4日(土)13:00~17:00
場所:東北大学災害科学国際研究所多目的ホール+Zoomによるハイブリッド開催
参加方法:開催アドレスや参加方法については
災害文化研究室ホームページ(https://www.saigaibunka.jp)参照
次第:
〇研究報告 (13:10~16:00)
・蝦名裕一(東北大学災害科学国際研究所):歴史資料にみる慶長奥州地震津波
・柳澤和明(宮城県教育庁文化財課):多賀城市域における慶長奥州地震津波の被害
・川又隆央(岩沼市教育委員会)
:岩沼市高大瀬遺跡で発見された慶長奥州地震津波堆積物の様相について
・後藤和久(東京大学大学院理学系研究科)
:地質記録から見た慶長奥州地震津波:現状と課題
・石澤尭史(東北大学災害科学国際研究所)
:宮城県内における慶長奥州地震津波の堆積物について
・石村大輔(東京都立大学都市環境科学研究科)
:岩手県山田町の津波伝承に関する地質学的検討
・西村裕一(北海道大学大学院理学研究院):北海道における慶長奥州地震津波 の痕跡
・今井健太郎(海洋研究開発機構):慶長奥州地震の津波波源と規模の再評価
・菅原大助(東北大学災害研)
:仙台湾および三陸海岸における慶長奥州地震の津波堆積物の数値シミュレー ションによる検討
・佐藤賢一(電気通信大学情報理工学研究科)
: 宮城県を事例とした災害間期の防災意識について
〇パネルディスカッション(16:00~16:50)
・コーディネーター・今村文彦(東北大学災害科学国際研究所)
主催:東北大学災害科学国際研究所、歴史文化資料保全の大学・共同利用機関 ネットワーク事業東北大学拠点、指定国立大学災害科学世界トップレベル研究拠 点災害人文学研究領域
共催:人間文化研究機構、神戸大学大学院人文学研究科、地震・火山噴火予知研 究協議会研究推進部会史料・考古部会