445号 震災12年にあたって

守る―保全活動広める―普及活動救う―救済活動東日本大震災

2011年3月11日に発生した地震と津波から、12年目となりました。犠牲になられたみなさまの御冥福を改めてお祈りいたします。

史料レスキューに対しては、この間様々な形で、多くの支援をいただいておりますこと、改めて御礼申しあげます。

人員や経費など様々な制約の中で、あれからも毎年のように起こる大きな自然災害への対応する必要もありました。加えて、2020年初頭からの新型コロナウイルス流行拡大の影響も受けました。救出した史料を返却して内容を共有し、被災した人々の心の復興に資する、という理想からははるかに遠く、目の前の史料がとりあえず消滅しないことを食い止めるのが精一杯という状況です。運営にあたっている人員も、みな12歳、年齢を重ねました。

あの日からの経験を契機に、地域に残る歴史資料(古文書)の保存や継承に関わる社会的環境が、前向きな方向に転じたという確信は、なお持ち兼ねています。しかし、目の前には消滅しそうな歴史資料が山のように残されている。これは、紛れもない現実です。

一方で、この間の活動は、最長で12年もの間、全くの善意に基づいて、日々の活動に従事していただいている、退職者・高齢者を中心とするボランティアのみなさまに支えられております。改めて明記し、感謝申しあげます。そのことで、被災した全てではなくても、数万点の史料が、目下の消滅を免れています。それは、「百年後の誰かの希望」となり、「千年先に残る」、最初の一歩でしょう。

今後は、活動を通じて「3.11」を伝えることも、大きな役割になってくると自覚する今日この頃です。新型コロナウイルス状況も徐々に緩和され、史料を通じた交流の機会も増えると考えております。

引き続きのご支援、ご協力の程、どうぞよろしくお願い申しあげます。

(文責:佐藤大介)