1号 みなさんへ

救う―救済活動

平 川 新(東北大学東北アジア研究センター)

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 このメールは宮城県内に在住されているか、または宮城県に関係がおありの歴史関係者の方々にお届けしております。今後も宮城地震による歴史資料の被害に関する情報を送信することになりますが、メール送信が不要な方は送信リストから除きますので、ご一報ください。
 また、お差し支えなければ、このメールをお知り合いの方々に転送していただき(宮城県関係者以外の方々にも)、これからの活動について広く周知していただければありがたく存じます。
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 お願い/ 宮城地震に伴う歴史資料の救済と保全の活動について

 去る7月26日(土)に宮城県を襲った地震は、県北部を中心とした地域に甚大な被害をもたらしました。

 被災状況が判明するにしたがって、地震の爪あとはこれら地域の方々の御身体や家屋だけではなく、遺跡や古文書、古物などの文化財にも及んでいることが明らかになってまいりました。指定文化財等については現状確認や保存の手だてが徐々に加えられておりますが、未指定の古文書や古物等は、瓦礫などと共に、被災地復旧の過程で廃棄されたり散逸するのではないかと心配されております。
 
 そのため、8月1日(金)、関西に設置されている歴史資料ネットワーク(通称:史料ネット)から、代表の奥村宏さん(神戸大学)ほか2名の事務局員が来仙されて、この点についての注意を喚起されました。またそのさい、菊池勇夫さんと平川が案内して、被災地の一つである矢本町の視察に入りました。

 史料ネットは阪神大震災時における歴史資料の救出と保全を目的に設立され、多大な成果をあげた組織です。その後、鳥取西部地震や芸予地震に対しても、被災地にボランティアを派遣して古文書や文化財などの救出と保全に大きな役割をはたしております。
 
 1日の現場視察の結果、被災した家屋の修復や解体に入る段階で、個人が所有しておられる種々の歴史資料が処分される可能性の高さを実感しました。また河南町で文化財を保管している私設資料館からは、多くの土器が破損し書籍類が散乱したため助けてほしいとの連絡もはいってきました。そのため明日8月6日には、関係者4人で河南町に入って、被災状況を確認してくる予定にしています。

 視察の結果、被災状況によっては緊急のレスキュー隊を組織して現地に入る必要も考えられます。また即時にというほどの緊急性はなくとも、いずれ歴史資料の保全・整理のために被災地にはいって、さまざまな活動をしなければならないことが予想されます。そうした救済プログラムは、地元市町村の文化財担当者、県の文化財課、東北歴史博物館などと相談しながら組んでいくことにしています。

具体的な行動計画は、明日の視察をふまえて、どの程度の人員が必要かなどを検討したうえで決定することにしています。行動日や集合場所等については改めてご連絡を差し上げることになりますが、今後実施されることになる救済・保全活動に、ぜひともご協力をお願い致したく、前もってみなさまにお知らせした次第です。よろしくお願い申し上げます。

 また、20年以内には極めて高い確率で宮城県沖地震が発生すると予測されておりますが、その震災においても、今回を上回る文化財や歴史資料等の被害が発生するのではないかと想定されます。それに備えて歴史資料や文化財の救出・保全の体制をより充実させていくことが必要だと思われますので、当面の救済活動とあわせて、将来に向けての体制作りも進めていきたいと考えております。この点についても、ご協力をお願い申し上げる次第です。