122号 建築チーム 岩沼市・石巻市での古建築調査

救う―救済活動東日本大震災

 宮城資料ネットで建築を担当させていただいている佐藤敏宏です。5月7日と8日の活動内容を報告させていただきます。

 両日は金沢より古建築の改修や保全を生業としている方々に再び支援していただきまして、岩沼市内に在る古建築の実測を行いました。前回も来ていただいた橋本浩司さんと、若い2人の伝統建築士である野田直希さん、吉田健二さんでした。三名は6日深夜に金沢を出発し、事務局のある東北大学川内キャンパスに7日午前8時半に到着されました。事務局で簡単な打ち合わせを行った後、休息もそこそこに一同は岩沼市に向かいました。

 現地に到着すると、御当主からはすでに主屋の建築調査が実施され、平面図が作成済みであることを知らされました。そこで、今回はイショウグラと呼ばれる土蔵の詳細な実測に収集することにしました。この土蔵は、前回4月14日の活動(メールニュース111・112号を参照)で、建築チームにより応急処置のブルーシートを貼り付けたものです。測量では吉田、野田が内部を、佐藤と橋本が外部を実測することにしました。昼食の時間を含めおおよそ8時間で寸法を採取し、野帳に記すことができました。測量の様子と感想を聞き取り、動画をつくり公開しましたので参照ください。

 実測後、詳細な図面をかき上げなければ測量の意義は発生しません。引き続き精密な図面を書くよう指示を出しました。

 今回測量したイショウグラが仮に解体されたとしても、詳細なデータがあれば再建は可能です。一方、人々と生活や経済とともに建築が在るのが理ですから、実存し続けたとしてもイショウグラの機能を再発明できなければイショウグラ建築そのものは社会から消えていくことになるのは理の当然です。それゆえ、歴史的記述としての実測データが必要であることは理解いただけると思っています。

 今回測量したイショウグラのデータを、人々の関係性を豊かにするために活用し、死蔵されないよう働きかけたいと思います。
 

測量を基に作られた図面
2日間の調査を終えて

 岩沼市で二日間調査を行う予定だったのが一日で終了しましたので、7日は石巻の本間さんを訪ね、4月12日に調査した土蔵周辺のその後を見たり、話を聞き取りつつ挨拶に向かうことにしました。偶然にも本間さんが現場にいらっしゃいましたので、修覆の進み具合や、集めた古い瓦の話などを聞くことができました。解体され瓦礫になった若宮丸の姿を含め、周辺の様子を動画にまとめ公開しましたのでご参照ください。

その後は、津波による被災が甚大激烈な女川の一部の様子を見まわりました。こちらも動画を作りましたのでご参照ください。女川の惨状を写真などに記録したあと、石巻市にある古民家の測量を行いました。

 この古民家については、7日の夜に事務局に調査依頼があったもので、今回の震災で破損したとのことです。事前の情報では、所蔵者の方は家を今後どうされるか迷っておられるとのことでしたが、お話をおうかがいすると、ご家族全員が母屋に愛着があるということがわかりました。そこで調査を行い、完全な復元ではなくとも様々な修理方法がある旨をお伝えしたところ、少しホッとされた様子でした。こちらについては、今後所蔵者の方のご意向に沿って、引き続きご協力することになりました。

 調査日程の変更などありましたが、終わりよければ全てよしの実測部隊の2日間となりました。 みなさん暖かなご支援ありがとうございました。

(追記)
 宮城資料ネット建築チームによる被災調査の報告です。なおこれに先立つ4月30日には気仙沼市唐桑、5月1日には岩手県大船渡市の旧家で土蔵の実測調査と応急処置を行っています。(佐藤大介)

*参考 5月7日・8日動画(外部リンク・佐藤敏宏撮影)
 ・岩沼での被災建築測量 http://www.youtube.com/satoutosihiro#p/u/6/q4K3fYAupjE
 ・本間家土蔵の周辺 http://www.youtube.com/satoutosihiro#p/u/9/KeHzWDHowsY
 ・女川町の状況 http://www.youtube.com/satoutosihiro#p/u/0/Ge–8YcsyH0