131号 東日本大震災 南三陸町志津川での歴史資料保全活動

救う―救済活動東日本大震災


 宮城資料ネット事務局の天野真志です。6月1日(水)、南三陸町志津川で歴史資料保全活動を実施しました。保全対象となったE家は、母屋が元禄期に建てられた由緒のあるお宅でしたが、今回の津波による被害で、お宅の大部分は流されてしまいました。ご当主によると、残された母屋の部材などについて諸方と交渉しているなかで、宮城資料ネットの活動について紹介されたそうです。その後、ご当主から事務局に所蔵資料のレスキュー要請が寄せられ、今回の訪問となりました。(右絵:被災した母屋の状況)

 事務局がお宅を訪問すると、茅葺きの母屋が内部を津波で大きくえぐられた状態で残っていました。大事なものについては震災後ご当主が探して集められていたようで、ご当主によって応急処置が施された江戸時代の古文書類については、ほとんどが乾いた状態でした。ただ、母屋のなかをみてみると、近代にはいって同家が携わった、青年会の書類や養蚕事業に関わる記録などが散乱しておりました。これらについて、可能な限り拾い集め、保全措置をおこなうことにしました。
今回は、震災後はじめておこなった志津川での保全活動でした。数日前に被災地を襲った豪雨の影響で、大きな水たまりが確認され、地滑りなどさらなる被害が懸念される状況でした。


 ご当主にお話を伺っていると、今回の震災で、これまで経営してきた事業は壊滅的被害をうけ、機材などもほとんどが流されてしまったそうで、今後生活していくために、国や自治体からどのような支援があるのかいまだ分からないとのことでした。そうしたなかでも、代々受け継いだ家屋や古文書類について、何らかのかたちで残していきたいとの思いで事務局に相談をもちかけていただきました。(右絵:資料の状況を確認する)

被災地支援のあり方について、様々な考えがあるかとは思います。そうしたなかで、それぞれのお宅に伝わった歴史や記憶を、後世に永く伝えていくお手伝いをすることが、我々なりの被災地支援であると考えております。震災から3ヶ月が経過しましたが、県内各地からレスキューの要請が毎日のように事務局に届けられています。少しでも多くの歴史を保全していくため、出来る限りのお手伝いをしていきたいと思います。これまでも多くの皆様にご助力をいただきました。長い道のりになると思いますが、今後ともご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。