158号 仙台市内の被災土蔵で歴史資料レスキューを実施

救う―救済活動東日本大震災


宮城資料ネット事務局の蝦名裕一です。

 震災に明け暮れた平成23年(2011)から、平成24年(2012)へと年が改まり、被災地は復興へ向けての第一歩を歩もうとしています。一方で、今度は内陸部の被災建造物の解体が急速に進行しつつあり、これにともなって我々もまた日々慌ただしく各地に赴いています。


 1月中旬、仙台市内の旧家で土蔵が解体されるとの情報が事務局に寄せられました。これをうけて事務局では、土蔵の調査に伺いました。土蔵は震災の影響によって瓦が落ち、屋根には穴が空いている状態でした。別棟の被災家屋は既に解体工事が始まっていましたが、土蔵の解体に着手するのを待っていただき、1月18日に緊急の調査とレスキューを実施しました。

 同家は仙台市内にある神社の門前で、江戸時代から米穀店を経営しており、つい10年ほど前まで営業を続けていたそうです。土蔵の中からは、明治・大正期を中心とした米取引に関する帳簿類のほか、古文書を下張りとする襖などがみつかりました。取引先ごとに作成された大量の通帳(かよい・ちょう)からは、米穀店時代における活発な取引の様子がうかがえます。


 文書以外にも、屋号入りの暖簾や前掛けといった米穀店で使用された物品、また土蔵の片隅からは古いブリキのおもちゃがみつかりました。また土蔵の壁には、仙台市内の商店の名前が記された、古い団扇が多数掛けられておりました。その中には、近年営業をやめてしまったこの地域の商店の名前もみられます。神社の門前町として栄えた同地域も、ここ数年ですっかり様変わりしてしまいましたが、こうした物品から、かつて活発に活動していた商人たちの姿が偲ばれます。

それぞれの被災地で復興のデザインが定まりつつある今、復興計画に則して被災建造物の解体が進行するのは、やむを得ないことかもしれません。我々も被災地の一日も早い復興を願うと同時に、一方ではひとつでも多くの歴史資料を保全するため、今少し時間的猶予を与えてほしいと願う今日この頃です。