178号 一関市K家での保全活動

守る―保全活動東日本大震災

事務局の佐藤大介です。去る11月15日・16日の両日、一関市大東町K家にて古文書資料の保全活動を実施しました。一関市芦東山記念館、一関市博物館、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料研究部門との共同事業です。

9月4日の古文書返却事業に際しては、K家の「文庫蔵」と呼んでいる土蔵に大量の古文書が残されていることが確認されました。11月の芦東山記念館での燻蒸作業に合わせて最初の保全活動を行うことにしたのですが、その際の事前調査で、別の土蔵にも未整理の古文書が多数確認されたとのことでした。
今回の活動では、燻蒸のための史料の箱詰めを行いました。分量は保管箱60箱ほどになりました。また文庫蔵の保管文書の一部を撮影しました。撮影点数は2日間で1693コマでした。
あわせて、芦東山記念館で保存修復を担当する小味浩之さんが土蔵の清掃を行いました。古文書の入った棚や引き出し、床を、掃除機を使って丁寧にホコリなどを取り除きました。
現存の公的な収蔵施設はスペースの限界に直面しているところも多いようです。一方で、これまでの活動では、史料を自宅で保管し続けたいと考えている所蔵者も決して少なくありません。しかし、高齢のご夫婦

史料の箱詰め(11月15日)
古文書の撮影(11月16日)

 

    
タンスの引き出しを清掃(11月16日)
のみという場合など、土蔵などを個人で掃除するという事は大変な労力になります。そのような所蔵者の方々に対して、保管場所の環境を整えることも重要な支援だと再認識しました。

掃除そのものは誰でも可能です。むろん、一関市のように保存科学の専門家が史料所蔵者の身近にいれば、大きな強みとなるでしょう。

なお調査2日目の11月16日は、偶然にもK家の先代ご当主の命日でした。

活動の終わりに、現在の御当主から、今回の活動で史料を引き継ぐ道筋が出来たようで安心した、父も喜んでいるだろう、との言葉がありました。今回の活動が、K家の歴史にとって大きな出来事だったということを感じ、帰路に就きました。