181号 石巻市での活動-被災史料の返却・保全など

救う―救済活動東日本大震災

事務局佐藤大介です。12月12日(水)、石巻市にて被災歴史資料の保全活動を実施しました。


■H家古文書資料の返却
午前中はH家を訪問しました。H家の古文書資料は津波で被災し、昨年4月と6月に救出しました。史料は津波により全体に破損・劣化が見られるため、引き続き修復作業を進める予定にしています。一方、同家で最も大切にしている文書1点について返却のご希望がありました。また、修復前ですが史料全点の撮影が完了し、文書の内容情報は利用できる状況になりました。

そこで進捗状況と写真帳の説明を兼ねて訪問しました。所蔵者からは、「石巻古文書の会のおかげでみんなのものになった古文書が津波をかぶってしまいどうしようかと思ったが、無事戻ってきてよかった」というお話しがありました。石巻古文書の会では、H家の古文書解読を、ご自宅を会場にして20年近く継続してきたとのことです。私たちがH家史料被災の連絡を受けたのは、会を主催する庄司惠一さんからでした。地元でのつながりが前提になって、地域の史料が守られたのだと改めて感じました。   (上絵:写真帳の贈呈)

写真帳および画像データDVDは、所蔵者と石巻古文書の会、および石巻市教育委員会に提供しました。データ数は4,482点でした。


■石巻文化センター
正午前、石巻文化センターにて、津波で被災した宮城資料ネットの「歴史資料写真帳」4冊を搬出しました。石巻市教育委員会の佐々木淳さんから「発見」の情報を受けており、今後の保全活動を考える資料として活用すべく、石巻訪問の機会に合わせて回収しました。海砂と近くの製紙工場から流出したパルプにまみれた写真帳は、それ自体「震災資料」であるといえます。

写真帳4冊のうち、1冊は原本が消滅しています。また、データDVDは行方不明です。一方でデータは事務局で保管しておりますので、折を見て所蔵者と石巻市に提供することにしています。

 (右絵:津波で被災した歴史資料写真帳)

■本間英一家
石巻文化センターの後は、同市門脇町の本間英一家を訪問しました。本間家は震災後最初の津波被災地での活動写真帳の贈呈津波で被災した歴史資料写真帳を行った場所です。同家の被災歴史資料への対応について現状報告を行いました。
また、今年1月28日にレスキュー活動を行った石巻市住吉町K 家について、2月の家屋解体の際に石巻古文書の会で一時搬出した道具などを一時搬出して、本間家の土蔵で保管しているとのことでした。状況を確認し、文書を保全のため借用しました。津波を受けながら奇跡的に倒壊を免れた土蔵が、同じ地域のほかの津波被災資料の保全に活用されていました。
なお,門脇町の町内会では,震災からの復興にむけてさまざまな取り組みがなされています。本間さんに完成したばかりの、土蔵をあしらった地域コミュニティのデザイン画を見せていただきました。災害から歴史資料を守る地域のつながりと、歴史資料が復興のよりどころとなっている現状を知る事ができた一日となりました。

(上)本間家土蔵の現状
(右)「門脇・九後浜山・起上町内会まねきコミュニティ」
の図中央が本間家土蔵)