19号 河南町の斎藤家の古文書が東北大学に寄贈されました

2003年宮城県地震救う―救済活動

 すでにNHKの「ニュース10」などで報道されましたのでご承知の方もおられるかと思いますが、戦後の農地解放まで日本屈指の大地主であった宮城県桃生郡河南町前谷地の旧・斎藤善右衛門家(現在は宝ケ峰縄文記念館)の大量の古文書や新聞などが、このたび東北大学附属図書館に一括寄贈されました。
 
去る7月26日の宮城県地震で同館は、建物が損壊しただけではなく、展示してあった縄文土器が破損したり、蔵に納めてあった大量の文書箱が散乱するなど、甚大な被害を受けました。その直後から、立ち上がったばかりの宮城歴史資料保全ネットワークが同記念館に入り、8月いっぱいをかけて救出・整理作業に取り組んできました。

 ご当主の斎藤武子様は、同館で古文書等を整理・公開する態勢をとれないことや、膨大な史料がこれまで埋もれてきたことを惜しまれ、今後、歴史研究の役に立つことを期待されて、このたび東北大学に寄贈を申し出られたものです。

 東北大学は明治40年代から、斎藤家及び同家が設立した斎藤報恩会から多大の助成を受けて理系・文系にわたる様々な研究を進めてきました。斎藤家と東北大学のそうした密接な関係も斎藤武子様が東北大学に古文書のご寄付を決断された大きな理由となっております。

 これらの古文書には地主経営史料のほかに、漁業、鉱山、鉄道、銀行など多方面にわたる投資・経営関係史料が大量に含まれています。地主制や資本主義の成立・展開過程を解明し、日本の近代化の道筋を全国的視野から検討することが可能な史料群であります。

 寄贈をうけた東北大学では史料目録を作成したうえで公開していく予定にしていますが、膨大な史料群であるため目録作成だけでも数年は要するのではないかと思われます。

 多くの方々が参加された宮城資料ネットの活動が、このような結果をもたらしました。皆様にお知らせすると共に、あつく御礼を申し上げる次第です。

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宮城歴史資料保全ネットワーク
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