195号 2013年4月の活動

救う―救済活動東日本大震災

事務局の佐藤大介です。今回は2013年4月の各種活動についてご報告いたします。

◇兵庫県淡路地震への対応
4月13日、兵庫県淡路島を震源とする強い地震が発生しました。文化財の被災対応については、歴史資料ネットワーク(史料ネット/事務局:神戸大学)が16日に緊急体制に移行しました。宮城資料ネット事務局ではこれに合わせ、必要な支援について申し入れをおこないました。
史料ネットでは16日、17日に兵庫県、被災自治体と連携して現地でのパトロール調査を実施しました。その後、26日に緊急体制が一旦解除されています。
 また、4月18日には奈良文化財研究所から、水損文書などの応急処置について支援申し入れがありました。これは淡路島に加え、東日本大震災の被災地も対象としています。
 5月12日、同14日付の神戸新聞(ウェブ版)によれば、全壊・半壊家屋が80、一部損壊家屋が8800棟におよび、特に屋根の被災が多いとのことです。東日本大震災被災地でも同様ですが、梅雨時の雨漏り被災は予断を許しません。

◇事務局での活動
 
○被災歴史資料への応急処置
これまでに続き、津波で被災した歴史資料の応急処置と襖の解体作業続いています。中心は、2012年1月から2月にかけてレスキューした、宮城県石巻市や同気仙沼市の文書史料です。ボランティアスタッフや仙台市内の大学院生とともに、名古屋からのボランティア、東北芸術工科大学竹原万雄ゼミの参加を得ました。参加人数は延べ214名でした。

津波被災歴史資料への応急処置(4月24日)

○デジタル撮影作業
斎藤報恩会所蔵常盤文庫、宮城県女川町の個人所蔵文書、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料研究部門が対応した宮城県大崎市の個人所蔵文書の撮影を進めました。延べ50名で、13084コマを撮影しました。

◇各地での活動

○4月6日 宮城県加美町での歴史資料所在確認調査
加美町の旧家であるN家とT家で所在確認調査を実施しました。参加者は事務局の平川、蝦名、天野、安津波被災歴史資料への応急処置(4月24日)田と佐藤の5名です。主に明治時代以降の書類、写真や美術資料を確認しました。所蔵者の了承を得て、一部を事務局に借用しました。
その中の旧制第二高等学校関連の写真資料について、4月24日に東北大学史料館の永田英明准教授に内容確認を依頼しました。これまで未確認の写真が多く含まれていることが分かりました。

東北大学史料館永田准教授による概要調査(4月24日)

○4月11日 宮城県川崎町S家での保全活動
昨年度3回にかけて写真撮影を実施したS家へ、借用していた古文書30点ほどを返却しました。事務局の天野と会員の高橋陽一さんが対応しました。
その際、これまで3回の活動で得た画像データをDVDと写真帳で提供しました。あわせて、撮影が未了だった数点の撮影を実施しました。撮影コマ数は6391コマでした。

○4月27日 山形文化遺産防災ネットワーク
委託被災史料の引き取り東日本大震災の被災資料については、山形歴史遺産救済ネットワークが、宮城資料ネットでレスキューした分も含め、沿岸各地の史料レスキューを実施しています。4月27日、処置を終えた史料ダンボール10箱を、山形ネットの作業場所兼保管場所である東北芸術工科大学文化財保存修復センター(山形県山形市)より引き取りました。事務局の佐藤が対応しました。
膨大な被災歴史資料への対応において、山形ネットの役割は極めて大きなものがあります。関係各位に改めて御礼申し上げます。 山形ネットの被災歴史資料対応の活動も依然として続いております。多くの方のご支援をよろしくお願いいたします。

東北芸術工科大学での搬入作業(4月27日)