198号 緊迫の21時間-速報・石巻市での緊急レスキュー
2013.06.06
宮城資料ネット事務局の佐藤大介です。6月5日、宮城県石巻市で緊急の被災歴史資料レスキューを実施しました。今回の活動は、6月4日午後3時頃、石巻市教育委員会の佐々木淳さんからの緊急連絡から始まりました。1985年に古文書を整理した同市のG家で家屋の解体が始まっており、5日の出動を依頼されました。G家では佐々木さんら担当者が駆けつけたところ、母屋で下張り文書は確認出来たが、整理済みの古文書は確認出来ないということでした。それらの捜索と、下張りなど4日に確認された史料を搬出するため、5日の人員派遣を要請されました。
佐藤からは即座に出動する旨回答し、その後佐々木さんと携帯電話で情報交換を継続しつつ準備に取りかかりました。短時間での作業のためには一人でも多くの人員を投入することが必要なことは明らかでしたが、メールで参加を呼びかける時間は全くありません。そこで、平日の作業に参加しているボランティアスタッフらに協力を依頼しました。事務局とあわせて9名を確保しました。さらに上記の整理に携わった石巻古文書の会の庄司惠一さんにも一報を 入れ、参加いただきました。
翌日午前8時30分に仙台を出発し、現地に到着したのは午前10時。地震で建物が損壊し、危険な状態であることは素人目にも分かりました。佐々木さんからの説明を受けた後、建物の解体が進められる中、母屋の物置部分を重点的に捜索しました。整理済みの文書は約130点とのことでしたが、開始10分ほどですぐに見つかったダンボール箱には、その半分しか入っていません。史料はどこへ。なお捜索を続け、布団類の中に埋もれた茶箱を発見。開くと古文書が入っていました。その他、江戸時代の古文書が下張りに使われたふすまなどを搬出しました。
現地での作業時間は45分。「一日捜索したが発見できず、解体がれきとともに文書は消滅」という事態も考えられただけに、結果的に短時間でレスキューを完了できたのは幸いなことでした。搬出した史料は石巻市内の保管場所に移送し、すべての作業が終わったのは午後12時。第一報から搬入まで、約21時間で活動を完了しました。
建物解体に伴うレスキュー対応は全く予断を許さない。そのことを改めて確認した活動となりました。