217号 宮城県丸森町での現地報告会「宗吽院の史料は語る」

守る―保全活動広める―普及活動

 事務局佐藤大介です。2014年度がスタートしました。震災から三年が経過しましたが、被災歴史史料への対応は当面続いていきます。引き続きのご支援、よろしくお願いいたします。
 
 新年度最初のニュースは、3月30日に宮城県丸森町の舘矢間(たてやま)まちづくりセンターで開催された古文書調査報告会「宗吽院(そううん・いん)の史料は語る」の報告です。

 宗吽院は、聖武天皇の勅願に開山の起源をもつと伝わる、修験道の寺院です。戦国時代以降は、仙台藩主・伊達家と深い関わりを持ち、江戸時代には仙台藩領南部、現在の白石市および柴田郡全域を取りまとめる立場にありました。2012年に宮城資料ネット事務局に調査依頼があり、2013年度の東北大学日本史研究室の史料調査実習の一環として整理を進めることになりました。宮城資料ネットは、学生・大学院生らの調査と連携する形をとっています。


 会場では、宗吽院の江戸時代の境内図ほか、文書の一部を展示しました。講演では、佐藤から調査の経緯を説明し、講義での調査成果について報告を行いました。いずれも、2013年度の講義における成果の一部として、学部学生と大学院生が行った文書の概説に基づいています。受講生20 名の一年間の学習の成果が、さっそく所蔵者と地域に還元されました。

 宗吽院文書が、今回のような形で公開されるのは初めてのことです。当日はあいにくの空模様となりましたが、80名ほどの参加を得て、座席はほぼ満席となりました。地元でも古い歴史を持つと言い伝えられてきた宗吽院の史料が、市民の関心をひいたことがうかがえます。
 

 今回の活動は、なによりも東北大学の学生・大学院生の努力のたまものであることを、NPO事務局の立場を離れ、講義の担当者として明記させていただきたいと思います。なお当日はスタッフとして7名の学生が、展示の説明など会場の仕事にも従事しました。

 一方、史料の整理はまだ途中です。今年度の活動は、史料を「ふるさと丸森の歴史遺産」として「千年後」に伝えるための、長い道程の第一歩です。次年度からも、東北大学での講義などを通じて、保全活動は続いていきます。