22号 10月10日と11日に古川市で資史料の緊急レスキュー 救出ボランティアを募集します

救う―救済活動

 みなさまに緊急のお願いがあります。江戸時代以来、商業の町としての歴史をもつ古川市で、「橋平酒造店」の古い蔵に収納されていた資史料が消滅する危機にあることが判明しました。具体的な事情については、地元の方の要請をうけて昨日現場を確認された斎藤善之さん(東北学院大学)からの要請文(下記に掲載)に記されていますが、来週15日からは建築業者が蔵内に入って整理・廃棄作業に取りかかるとのことですので、レスキューを実行するのは10日(日)と11日(月、祝日)しかないということになりました。

 つきましては、両日(もちろん、いずれか1日でも構いません)のレスキュー活動にご参加いただける方は、下記の斎藤善之さんまで、至急ご連絡ください。集合場所・時間、交通手段等については、追って斎藤さんから連絡がいくことになっております。作業は資史料類の搬出作業が主になると思われます。

斎藤善之さんのメールアドレス ysaito@tscc.tohoku-gakuin.ac.jp
 同 電話(研究室)022-721-3229

(以下は斎藤善之さんからの要請文です)
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各位
斎藤善之
緊急レスキューへのご協力のお願い

1)対象
 古川市の中心部を貫流する御絶川に面し、歌枕の名所「御絶橋」のたもとで造り酒屋を営んでいた「橋平酒造店」に残されている古文書、家財類です。

2)経緯
 橋平酒造店は、このほど古川市まちづくりTMO(市役所・地元商店会などが出資した3セクのようなもの)の「にぎわいまちづくり」の核施設として再整備されることになり、来年6月のオープンにむけて急ピッチで「整備」されることになりました。この15日からは建築業者がはいって、建物(離れほか)のいくつかを取り壊し、残りは全面修復するとのことです。
 私はこのような計画の存在自体知りませんでしたが、このTMOメンバーから先週突然連絡があり、当該施設の活用方法について相談に乗って欲しいという話を受け、とりあえず学生のヒアリング調査の対象になるかくらいに考えて、現状をみてからと返事し、本日午前に急遽現地を訪れました。

3)現状
 ところが現地をみたところ、思いがけず切迫した事態になっていることがわかりました。 当家は現在、最近までお住まいになっていた当主ご家族が引っ越しをされ、後かたづけの最中でした。ちなみに当家は、丸森の斎理屋敷を思わせるようなかなり広い敷地に、店・居宅・隠居所・土蔵数棟・醸造蔵2棟などの建物が現存しており、それぞれ立ち入って実見したところ、いずれの建物にも書籍、古文書、ならびに醸造用の道具、家具、什器、衣類がなお相当に(というか、ほとんど手つかずに近い状態で)残されていました。ちょうど搬出作業にかかっている最中でしたが、めぼしいもののみ持ち出しているようでした。またご当主の呼びかけにより、市立図書館の職員ならびに吉野作造記念館の館長らが、先日同家を訪れ、それぞれ古書ならびに文書のうち関心のあるものを搬出したようです。しかしなお帳簿類が各所に散見されたほか、古い衣類や什器類もほとんどが手つかずで、その保存方についてご当主ならびに関係者にお訊ねしたところ「正直もてあましており、何とかしたいとは思っているが、おそらく15日以後、建築業者が入れば、そのほとんどが片づけられる(廃棄される)のではないか」ということでした。つまり膨大な同家の文書や備品は、めぼしいものを各関係者が持ち出しつつあるものの、残る大半は廃棄される現状ということです。しかも解体・整理業者の作業が15日に迫っており、時間も切迫しています。まさに先に緊急レスキューを経験した「八百長」同様の事態といってよいでしょう。

4)作業
 大まかな現状記録をとり、土蔵・居宅内の全ての備品・文書類を緊急に搬出することが求められています。この蔵出し作業に従事してくださる経験者(もちろん未経験者も歓迎)のご参加、ご協力をお願いします。
 作業日は10月10日(日)および11日(月・祝日)の両日を考えています。もちろん1日のみ、または半日だけでも、参加していただければ幸いです。
 なお段ボール類などの備品は、今回はTMO側に依頼し準備してもらうつもりです。

搬出した資史料は、同家が斎理屋敷と似た公開施設になるとのことで、同家内に保管されることが見込まれます。また当面の搬出先は、今日の時点ではまだ詰めていませんが、同家内か、近隣の空き蔵などが考えられそうです。
なお今回は膨大な仕事量から、TMO側にもできるだけボランティア参加者を募ってくださるようお願いしました。彼らと我々経験者がチームを組んで作業にあたることになるかと思います。

*参加してくださる方は、斎藤宛、または佐藤大介君宛にメールなりでご連絡ください。参加数や顔ぶれなどをみて、現地までの交通手段、集合時間などは、追って個別に連絡いたします。

なお本日撮影した画像ファイルを添付しました。ご覧ください。

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車でのご参加が可能な方は、その旨、お書き添え頂ければ幸いです。
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<宮城資料ネット事務局より>
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 このメールニュースは、昨年7月の宮城県北部連続地震による被災文化財救出・調査等のための連絡用として地震直後から配信を開始しました。できるだけ活動情報を共有していただくために、広く関係者の方がたに配信しております。なお、配信が不要な方は、その旨、下記の事務局までお知らせください。また周辺の方々に転送して頂いても構いません。
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宮城歴史資料保全ネットワーク
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東北大学東北アジア研究センター 平川新研究室気付
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メール  hirakawa@cneas.tohoku.ac.jp
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