239号 岩手県一関市で公開シンポジウムを開催しました

広める―普及活動救う―救済活動東日本大震災

 事務局の佐藤大介です。6月20日、岩手県一関市の室蓬ホールにて、公開シンポジウム「磐井の江戸時代をほりおこす―一関市大東町・金(こん)家文書の世界」を、一関市教育委員会、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料研究部門(上廣部門)との共催で開催しました。
 
 金家での保全活動は、2012年度これまでの3年間で46日間、述べ357人で、全体の約半数の史料、約11万コマの撮影を終えています。前号でもお知らせしたとおり、今回のシンポジウムは、その保全活動における最初の現地報告会です。


 報告では、佐藤から全体の概要として、金家での実際の活動を事例に、地域の歴史資料を守る事の意義や、それらを地域の人びとが心ゆたかに暮らしていける新しい社会作りに活用することの重要性を述べました。

東京農工大学の高橋美貴さんからは、18世紀初頭に発生した山論から浮かび上がった山林利用の実態と特質について、一関市芦東山記念館の張基善さんは、仙台藩の儒学者・芦東山の門人であった、18世紀中頃の当主・金孝蔵との学習など日常交流の実態が報告されました。
  (公開シンポジウムの様子6月20日  →) 
  
 シンポジウムには、一関市や仙台市などから約220名の来場者がありました。上廣部門や、一関市芦東山記念館の様々な広報の成果でもありますが、その上で想定していた来場者を上回るものでした。地元の歴史に対する関心の高さを改めて感じました。また、共催した2つの郷土史団体の代表の方々からは、高齢化と過疎化が進む地元にとって、地域への愛着や誇りを持つため、歴史に学ぶこと必要性を強く訴えておられました。今回の報告会が、金家文書も含めた磐井郡東山の歴史に改めて注目し、多くの人びとの協力で、地域の歴史文化全体の保全と継承を実践していくきっかけとなればと考えています。

 末筆になりますが、シンポジウム開催に尽力いただいた関係各位、金家の皆様に改めて御礼申し上げます。
 なお翌21日には、金家文書のデジタル撮影を実施し、約2500コマを撮影しています。