257号 石巻市・本間家土蔵の現在 東日本大震災5年・被災地より(1)

広める―普及活動救う―救済活動東日本大震災


 まもなく、東日本大震災の発生から5年が経過しようとしています。そこで、被災地の現状や、歴史資料救済活動の現状について、事務局の佐藤から御報告したいと思います。今回は、石巻市の本間家土蔵の現況です。

 (曵屋工事中の土蔵 2015年8月26日撮影→)

 石巻市門脇にある本間家は、2011年3月11日の津波で被災しましたが、古文書などを保管していた土蔵が奇跡的に倒壊をまぬがれました、同年4月8日に、津波被災地での最初の活動として救出活動を実施しました。救出された歴史資料は、宮城資料ネットや、東北芸術工科大学文化遺産修復センターなどの支援で復旧されています。これらの資料は、本間家に返却されています。
 また、地元の郷土史団体などの呼びかけにより、土蔵自体の保全も実現しました。土蔵には多くの来訪者があると共に、町内会の復興の象徴としての役割も果たしています。

 その土蔵ですが、門脇地区での区画整理事業に協力するため、昨年の夏から秋にかけて曵屋が行われました。現在は、元の所在地から10メートルほど日和山側に移動しています。この工事にともない、現在は見学が中断されています。一方、この春から公開を再開するため、所有者の本間英一さん自ら、内部の整備など準備を進められているところです。再開の日程については、改めて本ニュースでもお知らせしたいと思います。内部の様子については、ぜひ現地でご確認ください。


 門脇周辺ですが、かさ上げと防潮堤も兼ねた道路工事により、震災前の風景とは一変しつつあります。一方、土蔵を中心に人々が集い、復興に取り組んでいます。これらの様子は、本間さんみずから記録し、コミュニティニュースで発信されていますので、ぜひごらんください。
 本間家の歴史資料や土蔵と合わせ、まさに「草の根のアーキビスト」としての活動が、被災した地域の過去と現在、さらに未来をつないでいきます。

 (工事を終えた土蔵 2015年11月6日撮影)

*本間家土蔵修繕工事について(本間家土蔵公式サイト) http://www.hanadataz.jp/k/001/00/honma00.htm