305号 川崎町で歴史講演会が開催されました。

広める―普及活動

4月21日(土)13:30~16:30
公開講演会「川崎の記憶 ~古文書からよみがえる ふるさとの歴史~」
 主催 川崎町教育委員会 東北大学災害科学国際研究所 
     東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門
 後援 川崎町歴史友の会 NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク

講演① 蝦名裕一(東北大学災害科学国際研究所)
     「中津山藩から川崎伊達家へ~川崎伊達家文書の調査から~」
講演② 高橋陽一(東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門)
     「青根にひたる、青根に生きる~湯守佐藤仁右衛門家文書にみえる温泉・湯治・飢饉~」

「青根にひたる、青根に生きる~佐藤仁右衛門家文書にみえる温泉・湯治・飢饉~」 (高橋陽一)

 2018年4月21日(土)、宮城県柴田郡川崎町の川崎町山村開発センターにて、講演会「川崎の記憶~古文書からよみがえるふるさとの歴史~」(宮城資料ネット後援)が開催され、「青根にひたる、青根に生きる~佐藤仁右衛門家文書にみえる温泉・湯治・飢饉~」と題して講演しました。
 本講演会は、近年宮城資料ネットや東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門が川崎町内で実施してきた古文書調査の成果である『川崎町の文化財12 古文書』(川崎町教育委員会、2018年3月)の刊行を記念して開催されました。佐藤仁右衛門家文書は町内の青根温泉で旅館業を営む旧家に伝存する古文書で、2012年より調査が行われてきました。封筒詰め・撮影・目録作成作業を終え、総点数が約2万5000点に上ることが確認されています。

 今回の講演では、調査の成果報告として、佐藤家文書の中から郷土史や研究上で興味深い古文書を紹介しました。例えば、「青根山薬師堂温泉記」(享保5年〈1720〉)は、仙台藩5代藩主伊達吉村が著した温泉療養の指南書で、貝原益軒の養生論を参考に青根温泉の入浴法がこと細かく綴られています。現在とは異なる温泉に対する認識がうかがえるのはもちろんですが、当時の藩主の医学的教養がわかる点でも面白い史料です。また、宝暦~天保年間の青根周辺の状況を綴った「(諸用留)」には、天明飢饉の際に仙台藩から金銭と大麦が貸渡されていたこと、天保飢饉の際には藩からの支援が滞り、代わって地域住民有志が困窮者に米を提供していたことが記されています。官から民へと窮民救済機能が移行していたことが、1つの地域レベルで実態として明らかになる史料です。
 このように、佐藤家文書は江戸時代の藩主から町・村の住民に至るまで、幅広い階層の人々の考えや暮らしを垣間見ることができる貴重な史料です。調査は一段落しましたが、今後も解読を続け、古文書の魅力を広く発信していければと考えています。