316号 ごあいさつ

救う―救済活動

NPO法人宮城歴史資料ネットワーク
理事長 斎藤善之

 このたび平川新さんに代わり理事長の任を務めさせていただくことになりました。微力ながら私なりに努力いたす所存ですのでよろしくお願い申し上げます。
 
 去る6月3日に行われましたNPOの総会において、平川さんが退任を表明されましたが、突然のことと驚かれた方も少なくなかったことでしょう。しかしこのことは数年前から折にふれて平川さんから聞かされていたことでした。平川さんは宮城資料ネットがこれからも永続していく組織であるためにも、特定の人格に過度に依存せずに機能しうる組織をもつべきであり、そのためにそろそろ理事長の交代を考えるべきであるというのです。それはNPOという組織のあり方や永続性を考えるとき正論であると思われます。ただ長年活動を共にしてきた者としてこれまでどおり平川さんのもとで活動していきたいという心情もあって複雑な思いでした。

 平川さんの退任表明の後、引き続きなされた記念講演「15年のあゆみをふりかえって」をお聞きし、改めて宮城資料ネットにおける平川さんの功績に感銘をうけました。そしてお引き受けした責任の大きさを痛感しました。平川さんが取り組まれてきた国との折衝とか、他方面にわたる研究者のとりまとめとかといったことは、私には容易になしえません。にもかかわらず、この重責をお引き受けすることにしたのは次のような思いがあったからです。

 宮城資料ネットの現状は、いくつもの震災によって膨大な未処理資料を抱えるに到っており、今こそこれらの処理を進めることが求められているということです。震災7年目となり、地域の自治体や資料所蔵者からも依託した被災史料のその後の状況について問い合わせが寄せられるようになっています。宮城資料ネットはこれまでにメンバーの働きによってめざましい成果をあげてきましたが、しかしまだまだ処理しきれない仕事は多いといえるでしょう。私が取り組むべき課題のひとつはこの点にあると考えております。

 宮城資料ネットは、多数の地域の大学などの研究者や民間ボランティア有志らによって結成された自発的で自律的な組織です。そのような組織の代表がいかにあるべきかということは難しい問題です。こうした点も自覚検証しつつ、会員の皆様のご支援を賜り、宮城資料ネットが果たすべき役割をともに全うして参りたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。