53号 2008年岩手・宮城内陸地震宮城県栗原市の現地視察を実施しました。
2008.06.15
宮城歴史資料保全ネットワークの平川です。
今朝から宮城資料ネットメンバー4人で、震度6強の激甚被災地の一つである栗原市の視察に入りました。
まず、市内の歴史資産の掘り起こし活動を展開している田園観光課をお訪ねし、今後の歴史資料調査へのご協力を依頼し、同課がお持ちの歴史的建造物リストの提供をうけました。ついで文化財保護課をお訪ねして、同様の依頼をし、今後の被災状況調査やレスキュー活動の実施の仕方などについて打合せをしました。その後、車で特に被害の大きな栗駒・花山・鶯沢・一迫地区を視察し、古民家を中心に外部から被災状況を確認しました。
壁が剥落した長屋門や土蔵、本殿が傾いた社殿、軒並み倒壊した墓石や石塔、土砂崩れなどが、あちこちに見られました。道路も陥没したり亀裂が入った箇所などが散見され、市内には災害救助用の消防車や自衛隊の車両がたくさん走りまわっていました。とくに内陸の奥羽山脈側では随所に土砂崩れがあり、温泉宿や車両が土石流に飲み込まれるという悲惨な事故が発生しております。
夕刻に戻って、地震研究者らと合同の情報交換会をおこないましたが、今回の地震は、地震の規模からみれば比較的建物の損壊度が低いようだとの観察結果が報告されておりました。ただし、局所的には大きな被害が出ている箇所もあるようです。
明日16日(月)は、震度6弱の被災地である大崎市を訪ねて、文化財担当者と相談することにしています。同市でも被害が大きな地域があるとのことです。その後は、やはり震度6強の岩手県奥州市の視察も実施したいと考えています。
こうした被災地視察と並行して、資料ネット事務局では、被災地の自治体史や文化財調査報告書などをもとに、被災地の歴史資料所在リストを鋭意作成中です。今回は被災範囲が広域に及ぶためにリスト作成も大変ですが、資料ネットの院生会員の方々のご協力を得て進めております。
歴史資料の保全活動にあたっては、被災者の方々のご心情に配慮しつつ、また地元の行政や文化財・歴史関係者の方々と十分に意思疎通をはかりながら実施することが必要ですので、慎重に状況を見極めながら、保全活動の段取りを組み立てていくことにしています。被災地全体の状況把握をしたうえで、保全活動・被災状況調査の日程等について、地元の関係者と協議を進めていくことにしております。具体化しましたら、ご案内いたしますので、それまでしばらくお待ちください。