61号 大崎市の鬼首地区で資料保全を実施しました

2008岩手・宮城内陸地震救う―救済活動

■大崎市鳴子温泉鬼首地区の調査を実施しました。

 岩手宮城内陸地震で震度6強の地震に見舞われた大崎市鳴子温泉(旧・鳴子町)の鬼首地区に、 8月27日と28日の両日、調査に入りました。参加者は宮城資料ネット事務局から2名、東北歴史博物館から1名、大崎市文化財保護課市史編纂係1人、地元の古文書を読む会2人の合計6人でした。
 公民館長さんのご案内で、5軒の旧家をお尋ねしました。

 元禄期の村絵図があるA家では、築二百年はたつかと思われる土蔵の壁が、中が見えるほど大きく崩落して無残な姿になっていました。修復には費用がかかりすぎるので解体せざるを得ないと落胆したご様子でした。また、こちらも築二百年はなっているだろうといわれるB家も、地震で屋内の壁が落ちたそうです。
 旅館を経営するC家でも、客室の多くの障子がはずれて倒れるほど大きな揺れに見舞われたそうです。幸い建物本体に大きな損壊はなかったそうですが、宿泊客のキャンセルが続き、いまも客足は回復していないとのことです。こちらの被害のほうが大きいと、お困りのご様子でした。

 お訪ねした5軒のうち4軒で、古文書が確認できました。うち2軒では、その場で写真撮影をして中性紙封筒と保存箱に収納しました。また宿泊したC家では、夜中まで写真撮影と保全措置をしました。もう1軒のお宅は古文書の点数が多かったために、後日改めて保全措置にお伺いすることにしました。

■宮城県内の歴史資料所在リストの作成

 被災地の調査と並行して、被災地以外の歴史資料所在リストの作成も院生有志が毎週2回集まって進めておりますが、こちらは8町分(合併前)の第1次リストができました。既存分とあわせると県内の3分1程度のリストになります。これらをもとに、さらに精度の高いリストに更新していかなければなりません。