72号 岩手県藤沢町S家で資料保全活動を実施しました
2009.08.10
8月8日と9日の両日、岩手県藤沢町S家で資料保全活動を実施しました。仙台や地元の方、さらには東京、神戸から、2日間で合計22名の参加者を得ました。御多忙の中御参加いただいた方には、改めて御礼申しあげます。
今回の活動では、メールニュース69号でお知らせした、7月8日に古文書資料の返却に訪問した際に資料の所在が確認された土蔵に加え、約100坪ある旧母屋の建物の中にある古文書資料の所在を確認し、中性紙封筒への袋詰めと箱詰めを行いました。
土蔵と母屋での資料所在確認では、建物の隅々、長持ちやタンス、木箱などの容器一つ一つまで、徹底的に資料の確認を進めました。その結果、数多くの古文書資料を確認することが出来ました。「隠れキリシタンの郷」にあるS家の資料は、『宮城県史』や、50年ほど前に行われた大学の研究者による地域の総合研究で利用されていますが、作業の中では、古いタンスの引き出しに、これまで手つかずと思われるような状態で納められていた、大量の江戸時代の文書も確認することができました。
ここで確認された資料を、地区にあるカトリック教会を借用して、資料の大まかな固まりごとに中性紙封筒への袋詰めを行い、防虫剤を入れて箱詰めを行いました。当初は撮影を行う予定でしたが、大量の古文書が確認されたため、保全処置に集中することにしました。2日間の作業の結果、ダンボール50箱ほどとなった資料を、土蔵の2階に収納しました。9日は土蔵への収納の段階で雨模様となり、本降りになるのと競争となりましたが、全員の力を合わせ、無事資料をお返しすることが出来ました。
御当主からは、保全活動への謝意と合わせ、今回確認された資料について、今後の研究などへの活用も大いに期待したい旨のお言葉をいただきました。今後はS家と、一関市博物館と連携しながら、次の保全対応を検討することにしております。
なお今回の活動には、将来大学の日本史専攻を希望する学部学生の方にも多く参加していただきました。決して楽ではない活動の中で、生の状態の史料に触れ、目を輝かせていたのが、とても印象的でした。 (佐藤記)