92号 シンポジウム「歴史遺産を未来へ」を開催
2010.11.15
11月13日土曜日、シンポジウム「歴史遺産を未来へ」を、東北大学川内萩ホールにて開催いたしました。
シンポジウムへの参加者は120名を超え、会場から人があふれるほどでした。報告では、宮城資料ネットと、これから資料ネットの立ち上げが期待される首都圏での活動報告を通じて、これからの歴史資料保全の新たな方向性を考えることになりました。
宮城資料ネットからは、これまでの経験をふまえた保全体制のモデル提示と、個別報告としてかつての研究者による収集資料の返却、「学・官・民」協同の新たな保全活動に関する報告を行いました。一方、首都圏からの報告では、千葉での史料ネット起ち上げや、関東での学生が主体となった史料調査活動の成果と課題についての報告がありました。
続くコメントと全体討論では、報告をふまえ様々な条件の違いをふまえた資料ネットの活動と組織のあり方や、研究者、市民、行政それぞれの役割、空白地域の解消の問題などについて議論が交わされました。
報告と討論で5時間を超える長丁場となりました。それを感じさせない充実した内容になったのではないかと、主催者側の立場として感じております。これもひとえに報告者、コメンテーター、そして当日参加された皆様のおかげです。改めて御礼申し上げます。
シンポジウム終了後には懇親会で参加者間の交流を深めるとともに、翌日の14日には、栗原市栗駒、花山、若柳の各地を巡見しました。宮城での歴史資料保全活動の歩みを実地でたどるとともに、くりはら田園鉄道の活用イベントなど、歴史資料が地域で活かされる現場も体感することができました。
なおシンポジウムの内容につきましては、後日の公刊を予定しております。
当日の討論の中で、以前に保全活動を行った史料所蔵者の方から、実際の活動紹介とともに、史料の保全と利活用、地域還元が一体となった「宮城方式」への賛意が寄せられました。保全活動をどのようにすすめるかにせよ、このような所蔵者や地域住民からの期待に、いかに真摯に向き合い、応えていくのかが、まさに求められている状況です。宮城資料ネットでも、今後ともより一層活動を充実させていきたいと考えております。みなさまの引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。(佐藤記)