162号 宮城県知事より感謝状/司馬江漢の未確認作品を確認

救う―救済活動東日本大震災

宮城資料ネット事務局佐藤大介です。東日本大震災の発生からまもなく一年がたちます。この間の歴史資料レスキューに対するご支援に、改めて御礼申し上げます。


■宮城県知事より感謝状を授与
 本年2月付で、本法人に対し村井嘉浩宮城県知事より、東日本大震災での被災地支援活動への感謝状が授与されました。

この間の活動にご支援とご協力をいただいている皆様のご尽力のたまものであると存じます。あらためて御礼申し上げます。

■司馬江漢の未確認作品を確認・仙台市博物館へ寄贈
 1月29日に実施した石巻市での歴史資料レスキューで保全した史料の中に、江戸時代の画家・司馬江漢(1747―1818)の、これまで未確認だった油絵2点が含まれていることが確認されました。相州江ノ島(神奈川県藤沢市)から富士山を遠望した図(写真左)、および金沢能見台(横浜市)からの遠望(同右)です。絵画は所有者の勝又紳一郎さんより仙台市博物館に寄贈されました。この秋に開催される仙台市博物館の特別展で公開を予定しているとのことです。

それまで未調査であった地元の歴史資料の保全を行うと、時として今回のような「文化財」級の史料に巡り会うことがあります。震災前に私たちが保全活動を行った白石市の仙台藩重臣遠藤家文書に、未発見の中世文書が含まれていたことも一つの例です。二つの事例に共通しているのは、はじめから「文化財」があることを前提とした活動ではなかったことです。2003年7月以降、今回の震災も含め約500件の悉皆的な保全活動を積み重ねてきたことが、今回の「発見」に結びついたと考えています。また、二つの事例では所蔵者に加え史料について心に留めている地域の方々の存在も見逃すことができません。

個人的には、地元と協力しながら、種類を問わず地域での歴史資料の所在を悉皆的に確認し、保全・レスキューする活動を続けることの重要性を改めて学ぶ機会となりました。

 

             

*参考
・宮城資料ネット・ニュース152号「石巻での旧家レスキューの報告」

河北新報2012年3月3日「土蔵から司馬江漢の油彩 津波被災で解体寸前の民家で 石巻」