177号 2012年10月の活動

守る―保全活動救う―救済活動東日本大震災

宮城資料ネット事務局の佐藤大介です。月報形式でお送りしている、宮城資料ネットの事務局などでの活動についての報告です。

事務局での活動


◇京都造形芸術大学・大林賢太郎ゼミによる宮城県大和町ふすま下張り文書の解体10月20日、21日、23日の3日間、京都造形芸術大学の大林賢太郎ゼミに依頼し、宮城県大和町でレスキューしたふすま下張り文書の解体作業を実施しました。大林ゼミからは、合計5名が参加しました。

対象となるふすま30枚は、江戸時代前期の建築と推定される寺院の建物から搬出したものです。この建物は移築を予定しており、ふすまなどの建具は再利用が前提となります。そのため、大林ゼミのご助力をお願いしたものです。下張り文書については、文書1枚ごとにラベルを付し、現状を丁寧に記録しながら剥がしていきました。20日と21日でふすま4枚分の解体が完了しました。

残りのふすまは、22日に京都に発送しました。これらは、京都で解体作業を行う予定です。また、保管中の屏風類についても応急処置を実施しました。遠路からの支援に感謝します。

(絵:ふすま下張りから文書を剥がす(10月20日)


◇栗原市O家史料のクリーニング作業
先月に引き続き、栗原市O家文書のクリーニング作業を続けています。文書保管箱で約50箱分のクリーニングを行いました。

◇女川町津波被災史料のクリーニング作業

10月30日からは、今年3月にレスキューした女川町役場保管近世文書の水洗などによるクリーニングを開始しました。
クリーニング作業には、延べ186名が参加しました。

(絵:屏風の応急処置(10月23日)

◇古文書資料のデジタル撮影

10月は村田町Y家史料と、陸前高田市C家史料の撮影を行いました。合計撮影点数は6313コマとなりました。なおY家文書については今月の作業で撮影が完了しています。作業日数36日で、総コマ数は33,000コマとなりました。



地域での活動

◇栗原市での歴史資料レスキュー
10月14日に栗原市の個人宅にて歴史資料レスキューを行いました。詳細はネットニュース174号および176号をご覧ください。

(絵:クリーニング作業(10月23日)

◇白石市・遠藤家文書の整理作業
10月25日、白石市教育委員会博物館建設準備室と白石市古文書の会による、仙台藩重臣遠藤家文書の整理作業の支援に、事務局より佐藤が参加しました。



 (絵:白石市での史料整理支援(10月25日)

古文書返却事業

◇栗原市・I家

仙台藩の重臣であったI家の史料については、震災後の活動を通じて、かつての研究者の未返却資料の中に含まれていることを確認することができました。また返却事業とは別に、本会理事のJ.F.モリスさんが、昨年夏にI家で保管されている史料を調査されていました。そのような経緯から、モリスさんを通じて所蔵者と連絡を取ることができました。10月28日にモリスさんとともに現地を訪問し、83点の古文書を無事返却しました。これで返却が完了したのは12家の2566点となりました。Iさんは、昭和28年頃と推測される借用の経緯についてはご存じではなく、未返却資料の存在に驚いておられました。また、所蔵史料中の重要な文書について解読をお願いしたいというお話がありました。

今回の返却をきっかけに、所蔵者との新たな関係作りを進めていければと考えています。

<事務局・連絡先>
NPO法人 宮城歴史資料保全ネットワーク
980-8576 仙台市青葉区川内27-1 東北大学川内キャンパス文科系総合研究棟11F
電話 022-795-7693/7546 080-1666-5919(携帯)
メール office@miyagi-shiryounet.org
ホームページ http://www.miyagi-shiryounet.org