矢本町B家・ふすま下張り文書の整理作業
2003.11.17
・ 実施期間:2003年11月~2004年4月(のべ47日)
本活動では、11月1日に実施した矢本町被災状況調査 の際に、矢本宿の旅籠屋で幕末に肝入を務めたBさん宅からお預かりしたふすまの下張り文書の整理作業を、約半年間にわたって実施した。
作業は
①下張り文書解体前の現状撮影とナンバリング、
②下張り文書の解体
③和紙製ラベルを貼付して写真撮影および封筒詰め
という手順でおこなった。また、整理作業終了後、史料数点の翻刻もおこなった。
この作業は、七海雅人氏(学術振興会特別研究員、現・東北学院大学)が中心となり、東北大学の研究員・大学院生などが参加するかたちで進められた。また、一般の市民である今野則夫・雅子夫妻の献身的な参加があったことを特記しておきたい。
「○襖の下張り剥がし作業 今野 則夫
職を離れて年金生活、「毎日が閑なのはなんと素晴らしい。」と時間を謳歌していた。 しかし、時が過ぎるにつれ「待てよ。まだまだ体が動く、なにか世間の足しになる事が出来るのでは。」と考え始めて来た。そんな折りに新聞で、河南町の斉藤家より大量の古文書が東北大学に寄贈され、大学はその整理に数年を掛けると言う記事を見た。大変な仕事の様だが、下働きが必要ではないかとピピッと感ずるものがあった。
さっそく東北大学に赴き、飛び込みで平川教授に面談したら、教授は斉藤家はさておき差し当り現在、平成15年の県北地震により被害を受けた矢本町の長谷川家の損壊した襖について、下張りされている古文書を剥がす作業中だが人手が必要との話であった。
作業に入り、驚いた。下張りは薄い紙が何枚も何枚も、引っ繰り返し・おっくし返し貼られていて、一枚一枚剥がすのは至難の業である。大変に根気のいる仕事で、どちらかというと気の短い私には、すぐに背中が梓くなる。それでも年の功でこつこつと約2ケ月掛かり、悪戦苦闘の未剥がし終えた。最初は手探り状態であった作業も、終盤近くには幾らかコツを掴んだような気がする.下張り古文書を解読する為の下準備の作業であり、解読整理作業全体からすればまだ緒に過ぎないが、でも剥がさなければ始まらない。流れの中の一端を担えた事に満足した。
どんな作業でも成し遂げた時の満足感は、人に与えられた特権であり、生きがいともなる。一度だけの人生は終生挑戦であり、充実感によってのみ幸福と成り得ると思う。
一日の作業を終え、近くの老人福祉施設で入浴し、もみもみチェアーで肩揉みして帰る爽快さよ!」(ネットニュース21号より)
── 詳細については、ネットニュース21号(2004年5月24日発行)を参照。